政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
「ああ、よかった。ありがとう! えっと、そうそう。じゃあ課長に頼まれている資料作成があるんだけど頼もうかな」

「はい、了解です」

 私としては、自分の仕事を投げ打ってでも協力したいと思っているけれど、そうもいかない。総務部という括りは同じでも担当している仕事は別なので、上司に伺わなければならなかった。

 私の上司は速水部長である。

 だけど、考えればそこから変だった。

 部長の下には課長がいて平社員は通常課長の元で動いている。

 ところが私だけ違う。上司は課長ではなく速水部長で、仕事の指示を受けるのも部長からだ。

 仕事の内容も違っていて、多岐に渡っている。

 周りの社員が備品管理や事務的な社内業務をしているなかで、私が部長から頼まれるのは営業事務かと思われるようなグラフィックアプリケーションなどを駆使したドキュメントの作成やら、海外向けの資料作成など。ここでの事務職にそこまで必要があるのかと疑問をもちたくなるまで命じられている。
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