政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~

 眠れない、眠れない、眠れない!

 ガバッと布団を捲り上げて起き上がり、髪をクシャクシャにして唇を噛んだ。

 十五歳の少女の頃から憧れ続けた私の天使蘭々さんと、なんと普通に話をすることができた!

『よろしくね、紗空』

 連絡先も交換してもらった。

 夢のひとときを思い出し、ハァとため息をついて時計を見れば深夜十二時。

 だけど明日は休みなのだから無理に寝る必要はないのであーる。

 寝るのはあきらめ、ベッドから出て電気をつけた。

 私の部屋には蘭々さん専用本棚がある。LaLaこと蘭々さんの写真集に、彼女が中学生の頃に専属モデルだった雑誌から始まって、現在の専属モデルの雑誌。ほかにも彼女が表紙を飾った時を切り抜いてファイルしたもの。壁にはもちろんポスターが貼ってある。

 彼女は学園に入学して早々自信を失い、アイデンティティクライシスに陥った私が見つけた希望だった。

(ここにはあんなに輝くほど美しい人がいる!)

 初めて彼女を見かけたとき、私は息をのんだ。
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