王子と姫の狂おしい愛
立て続けに質問する琥珀に、フフ…と微笑んで椿姫はゆっくり答えた。
「大丈夫よ。
熱は下がったみたいだし、頭も痛くないよ。
気分は軽くなった感じがする。起きてもフラフラしないし、大丈夫だよ」
「そっか…よかったぁ~
じゃあ…抱き締めてもいいよな…?」
そう言って、椿姫を包み込んだ。

「寝てる時にね、たぶん夢なんだと思うんだけど、とっても安心して寝れたの。
それか琥珀、夜中に部屋に来てくれた?手を握ってくれた気がするんだけど」
「ううん。行ってないよ!行きたかったけど、椿姫の顔見たら我慢できなくなって、添い寝しそうだったから。
起こして、風邪を悪化させたらいけないだろ?」
椿姫の背中をさする、琥珀。

「そうだよね。じゃあ…夢か……
夢の内容は覚えてないけど、とても安心できたなぁ」
「俺って、椿姫の夢の中にまで行けるようになったのか(笑)?凄いな…!」
「フフ…そうね…!」
二階堂はその二人の姿を、何とも言えない複雑な気分で見ていた。
二人に言いたい。その時、傍にいたのはこの俺だと。
幸せそうな椿姫を見るのは、好きだ。
椿姫が幸せになれるなら、自分の気持ちなどいくらでも押し殺せる。
でも、椿姫に触れてしまい抑えていた想いが溢れそうだった。

「二階堂…?」
「え?
どうしました?椿姫様」
「私じゃなくて、二階堂がどうしたの?」
「え?」
「なんか…苦しそう……
もしかして、移した?」
「いえ…そのようなことは……」
「そう?ちょっと来て?」
おいでと手招きをする、椿姫。
二階堂が近づくと、椿姫の手が額に触れた。
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