王子と姫の狂おしい愛

｢二階堂って、いいとこ持ってくよな…！？｣
｢は？｣
椿姫は挨拶の為彩姫子と回っている。
琥珀はその間、二階堂に声をかけた。

｢ショールがあったんなら、もっと早く椿姫に渡せばいいだろ！？｣
｢それは、よくお似合いでしたし、椿姫様が琥珀様にドレスを見せたいとお話されていたので……｣
｢よくお似合いって……お前、まさか椿姫のこと……｣
｢滅相もございません！
椿姫様は琥珀様のモノですよ？｣
｢ふーん。だったらいいけど…！
なんかお前……要注意なんだよな…？｣
｢琥珀様に、意識していただけるのは嬉しいです｣
｢なぁ…早く椿姫を俺のとこに嫁に来るようにお前も加勢しろよ？｣
｢そうですね。でも奥様の意向もありますので……｣
｢あのババァ…椿姫のこと手放す気ねぇんじゃねぇの？｣
｢………｣
｢やっぱりな……
異常だもんな…椿姫にたいしての愛情。
まぁ…俺もだけど…！｣

琥珀は彩姫子と同じような匂いを感じていた。
狂おしい程に椿姫を欲していて、異常な程に放れられない。
だからこそ、早く籍を入れて彩姫子から椿姫を引き離したいのだ。

挨拶を終えて、琥珀の元に戻って来ようとする椿姫。
でもその途中、男達にあっという間に囲まれた。
｢今日も綺麗ですね！椿姫さん｣
｢椿姫さん、一緒にシャンパンでもどうですか？｣
｢僕ともお話しましょう！｣
｢今度、ドライブでもどうですか？｣
みんな、琥珀と椿姫が婚約中だと知っていてこんな風に声をかけるのだ。

それは、琥珀にたいしても同じだ。