意地悪な部長と私
「一つだけ、アイツを守る方法がある」

「は?」


なにそれ。

言ってる意味がわからない。


「お前が俺と付き合う。アイツと別れて俺のとこに来れば、アイツには手を出さない。どうする?」


この人、頭がおかしい。

狂いすぎてる。


「いいんだよ?どっちでも。俺はお前のこと許してねぇし」

許してねぇしって、雅留のこと?


「雅留のことは関係ないじゃないですか」

「言っとくけど、俺は雅留を裏切ったお前のことも腹立ってるわけ。関係なくないよね?」


仲悪いはずなのに、どうしてそうなるのか。


「仲悪いって聞いてましたけど」

「仲悪かったけど、兄弟だからね」


兄弟だからなんて、綺麗事を並べてるようにしか聞こえない。


「それに俺、お前のこと好きだったし。それで雅留と仲悪くなった。お前のせいでしょ?」


私のせい?

だとしても…


「まぁ、どっちでもいいよ。お前が俺のとこに来なければアイツはどうなるかわからない。よく考えな?答えが決まったらこれに連絡して」


そう言って、電話番号が書かれたメモと私の携帯を置いて家から出ていった。
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