意地悪な部長と私

監禁

私は歩きながら、さっき渡された電話番号に連絡をした。

私の答えを言うために。


『はい、平井です』

「相原ですけど」

『あー、お前か。思ったより早かったな』


だって、ズルズル部長といると別れがもっと辛くなる。

私の決意が揺らぐと思ったから。


「別れてきました。約束通り、部長には手を出さないで下さいね」

『わかっている。今からメールしたところに来い。逃げるなよ?逃げたらわかってるよな?』

「わかってますよ。平井部長も約束は守って下さいね。じゃあ」


電話を切り、指示された場所へ向かう。

逃げたいけど…

逃げたら部長に何されるかわからない。


それじゃあ、別れた意味がないから。


重たい足を動かしていく。

憂鬱すぎる。


部長…会いたいです…

もう会えないとわかっている。


私が手放したのだから仕方ないんだけど。

こうしかできない自分にムカつく。


ごめんなさい。
< 116 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop