意地悪な部長と私

助けて、部長

痛くても走り続けた。


辺りは真っ暗。

夜なんだろう。


何時かはわからないが、周りにある家には明かりがついている。

だとしたら夜中ではない。


家にいるのかわからないが、目指すのは部長の家。


部長を守ると言いながら、会いに行く私はなんのために部長から離れたのか。

そんなこと思っていたけど、会いたくて助けてほしくて仕方なかった。


やっぱり私には、貴方を守ることはできないみたいです。

こんな私でごめんなさい。


だけど、一度でいい。

もう一回私を抱きしめてください。


そうしたら私は、もう心残りはないのだから…


足を止めることなく走り続け、ようやく部長の家の前についた。

だけど、頭がボーッとする。


インターフォンを鳴らそうとするのに、体が痛くて動かない。

あと一歩なのに。


動かそうとしながらも動かなく、私はただ呆然としている。

そんなとき、後ろから

「相原…?」


と、愛しい声が聞こえた。
< 121 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop