意地悪な部長と私
先生の話しだと、あばら骨6本と右腕が折れていたらしい。

他は無事みたい。奇跡的に。


「よくこんな体で俺のとこ来たな」

「死ぬと思ったから…死ぬ前に会いたくて」


確かに自分でも、こんな体でよくたどり着いたと思う。

死ぬと思ったらなんでもできるのかな。


「バカ」

「へへへ」


部長は未だに手を握っていてくれる。

握り返すと、痛くないくらいの強さで握り返してくれる。

すごく愛おしい。


「で?なんで急にいなくなった?別れようって何?」


愛おしく思ってたのに、急に聞いてきた部長。

話したくない…でも、話さなきゃいけないよね。


私はゆっくり話し始めた。


あの日のこと、今までされて来たこと。

どんな思いだったのか全て。


部長は怒っているのか体が震えている。


「部長…すみません」

「何が」

「こんなことになってしまって」


部長は優しく抱きしめてくれた。

この温もりが私は大好き。
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