意地悪な部長と私
「それから、兄貴のことだけど」

「え?」


深刻そうな雅留。

きっと何か手がかりがあるのだろうか。


「心配しなくても、すぐ捕まるから」

「え?だって逃走中じゃ…」


すぐ捕まるって何を根拠に?


「根拠はなんだ?」

「だって俺、アイツの居場所知ってるから」


………………はい?

今、なんて言いました?


「なんだと?」

「証拠がなかなか見つかんなくて、動けなかったんです。でもやっと、証拠も手に入れたのでこれから警察と一緒に向かおうと思ってます」


「ほんと、に?」

「優愛、心配しないで。最後くらい、俺に守らせて?」

「雅留…」


私は、ほんとに素敵な人と付き合っていたんだ。

ううん、今も素敵な人と付き合っている。


雅留に夏夢さん

私にはもったいないくらいの人たちだよ。


「本当に大丈夫なんだな?」

「はい。俺に任せてください」

「わかった」


夏夢さんも安心したのか、雅留に任せていた。

きっと雅留なら、平井賢人のことをなんとかしてくれる。

雅留を信じる。
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