意地悪な部長と私
「それじゃあ、俺は帰るよ」

「雅留…ありがとう。そして、ごめんね」

「優愛が気にしなくていいよ。元気でな?」


そう言って雅留は帰って行った。


雅留に会えてよかった。

ちゃんと向き合えたおかげで、前に進めそう。

これも全て夏夢さんのおかげだよね。


「夏夢さん、ありがとうございます」

「別に」


夏夢さんにはたくさんの感謝がある。

言葉には表しきれないほどの。


「お前がアイツのとこに行かなくてよかった」

「え?」


アイツ…?

もしかして、雅留のこと?


「婚約者だったんだろ?」

「あ、はい…」

「お前はまた、俺から離れていくんでないかって思ってた。会わせるか悩んだけど、お前のためにはと思い会わせたんだ」


夏夢さん…!!

ほんとに素敵な人です。


「バカ野郎ですね」

「は?」


うわー、すごく怒ってるよ?

怖いよ?でも、バカ野郎なんだもん!


「確かに昔は雅留のこと好きでした。でも」

「………」

「夏夢さんのこと、こんなにも好きなのに雅留のところへなんて行きませんよ」


雅留のことは好きだった。

でもそれは、昔のことだもん。


今は夏夢さんのことしか好きじゃない。

神様に誓えるよ。
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