意地悪な部長と私
「そうか。決まったか?」


決まってない。

いつもなら、グラタンを選ぶ。


だけど、あの日からグラタンは食べれなくなった。

思い出すから。


「すみません、決めれないので選んでください」

決まらない。


「わかった」

そう言って部長は注文していた。


でも、選んでもらったのが間違いだったと今更後悔する。

だって部長が頼んだのは…


グラタンだったから。


悪気があったわけじゃない。

そんなの当たり前。


だけど、今の私にはわかっていても辛い。

自分から選んでって言ったのだから、今更無理なんて言えないし…


「グラタンでよかったか?」

よくない、よくない!!

だけど、そんなことも言えず「はい」としか答えられなかった。
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