意地悪な部長と私
「こっちへ来い」

「はい…」


部長は何かを悟ってくれたんだと思う。

人がいないところへ向かう。

きっと、部長なりの優しさ。


ついた場所は資料室。

この資料室はあまり使われていないから、きっとここを選んだんだってわかる。


「相原、泣きやめ」


…私、泣いてたんだ。

あのブレスレットを見た途端、色々蘇ってきてた。


そして、何よりなぜあのブレスレットが成山さんの腕にあったのか予想していた。

きっと、彼が空き巣の犯人なんでないかって。

理由は知らないけど…

私は泣きやもうとしたが、なかなか涙が止まってくれない。


それどころか、怖くなってきて部長に抱きついてしまった。

なのに部長は、嫌がりもせず黙って私を抱き締め返してくれた。


それがすごく安心できて落ち着いて、涙が自然と止まっていった。
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