意地悪な部長と私
「すみませんでした」

涙が止まった途端、なんだか恥ずかしくなって勢いよく離れる。

勢いをつけすぎて後ろへ倒れそうになる私を、部長が引っ張って助けてくれた。

また、私は部長の腕の中。


私、何やってるんだろう…


「バカ」

「すみません」


何度、バカと言われ何度すみませんと謝っただろう。

でも今はなぜか、そのやり取りが心地よいと思ってしまう。


「大丈夫か?」

「はい、なんとか」


恥ずかしいけど離れたくない。

なぜかそう思った私。


だけど迷惑だと思い、次はゆっくりと部長から離れる。

少し寂しいと思ってしまうけど。


「何があった」

「実は、空き巣の犯人がわかったかもしれません」


ゆっくりと、落ち着いて部長にさっきあったことを話した。
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