意地悪な部長と私
しばらく泣き続け、落ち着いてきた。

「部長、もう大丈夫です」


そう言うと、ゆっくりと部長は離れていく。

ちょっと寂しくなったが、部長の顔を見てお礼を言う。


「部長、ありがとうございました。ブレスレットもペンダントも取り返してくれて」

「別に」


またそっぽを向く部長。

何に照れたんだろう?


部長は耳まで真っ赤にしていた。

よかわからない。


「成山さん、今後どうなるんですか?」

「認めてるからな。起訴になるんでないか?会社は間違いなくクビだろうな」


まぁ、クビだろう。

予想はしていたが、複雑な気持ちだ。


「そうですか」

「お前は何も気にせずゆっくり休め。そして、元気に出勤して来い。わかったな?」

「はい、ありがとうございます」


部長の優しさが心に染みる。

ほんと、死ななくてよかった。
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