意地悪な部長と私
「大丈夫です!慣れました!」


それに、あれもこれもってなるとお金もかかるし。


「金の心配ならいらんぞ」

「いや、お金もそうなんですが…ここがいいんです」

「は?」


だってここは、部長と過ごした部屋。

部長のことを好きになった部屋。


思い出がつまった部屋なんだもん、引っ越したくない。


「ここには、たくさんな思い出があるんです」

「まぁな」

「だから、ここがいいんです」


そう言う私に「そうか。なら、引っ越しはやめよう」と、私の意思を尊重してくれた。


「部長、お気づかいありがとうございます」

「当たり前のことだ」


部長…

今思えばいつもそうだった。

私を優先に考えてくれていた。

それがなんだか、とても嬉しかった。
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