意地悪な部長と私
「私は…」

「ん?」

「雅留のことを忘れたわけじゃないです。でも、雅留はもういないんです」

「だから?」

と言う平井部長は、目が冷たい。

それがどうも怖くて仕方なかった。


「前に進んだだけです。前に進ませてくれた彼には感謝してます。そんな彼だから、好きになったんです。それでも、酷いんですか?いつまでもずっと、雅留のことだけを見なきゃいけないんでしょうか。もういないのに…」

忘れたわけじゃないし忘れるつもりもない。


雅留ありきで私は生きている。

ただ、前に進んだだけなのに…


「ひでぇだろ?雅留はきっと、逆の立場だったら誰とも付き合うことなかったと思うが?」

そうかもしれない。

雅留はそういう人。

でも私は、雅留じゃない。

違うんだから…
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