意地悪な部長と私
「私は雅留じゃないんです。私は私で、前に進む道を選んだだけです」

「それって、雅留悲しむのわかってて?」


悲しむ?雅留が?

まさか…雅留は、そんな人じゃなかった。


誰よりも一番、私の幸せを願ってくれた。

きっと、今の私を見て笑って「幸せになれよ」って言ってくれる気がしてる。


それって、私の思い込みなのかな…


「雅留は、私の幸せを願ってくれた人です」

「そりゃあ、好きな奴の幸せ願うだろ。でも、自分の手で幸せにしたいって思うのも普通。裏切られた雅留は可哀想でない?」

裏切ってなんていない…


「まぁ、君がどう思おうと勝手だけど」

「平井部長…」

「俺はお前を許さねぇよ?とは言っても、仕事中は普通にするから気にするな。それだけだ」

そう言って資料室を出ていく平井部長。

私はその場に座り込んでしまった。


私はどうしたらいいの?

ねぇ、雅留…私は、あなたを裏切ってしまったのかな?


教えてよ、雅留…
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