意地悪な部長と私

平井賢人

あれから仕事に集中できないまま仕事が終わり、家へ帰ってきた。

帰って来ても何もやる気が起きず、ただひたすらボーッとしている。

部長が帰ってきたのも気づかずに。


「おい、相原」

「………」

「相原!!!」


いきなり大きな声で呼ばれ驚いた。


「え?あ、お帰りなさい」

「何をボーッとしている?」

「あ、いや。なんでもないです」


言えるわけがない。

部長に雅留の兄が来たなんて。


部長は嫉妬深いから。


「……そうか。飯、食いに行くか」

「あ…作ってなかった…」


ご飯支度すら忘れていた。

ほんとに何も手付かずになってしまっている。


「そんな調子なら作ってねぇと思った」

「すみません」

「いや、気にするな。お前も疲れているだろ。たまには外食もいい」


部長…
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