幸せとはこの事か
紅幸「じゃあ、次俺の話だね、俺も誰にも言ったことないからちょっとドキドキする。」
おきな「わかる、初めて話すとドキドキするよね」
紅幸「俺、父子家庭なんだ。まぁ父子家庭なのは知ってるってか多分分かってただろうけど。そこは別に隠してる事じゃなくて、俺自身父さんに愛されてないんだ」
諦めているような瞳で続ける。
紅幸「愛されてないっていう表現はおかしいんだろうけど、俺が6歳くらいまでは母さんもいたんだけど、母さんが浮気して、浮気相手の借金も背負っちゃって。もちろん浮気がバレた時点で父さんは離婚を言い渡したんだけど、母さんは親権は自分が貰うって言い出して。父さん自身は浮気して借金背負ってるやつに子育てなんかできるかって言って俺を引き取ったんだけど、きっと辛かったんだと思う。6歳だから浮気とか借金とかちゃんと分かってなくて、急に母さんと離されて、泣いて泣いてそれでも父さんは折れずに一緒にてくれたんだけど、少ししてから一人で家におることが多くなったんだ。父さんが男一人で小学生低学年の子供を大人に育てるまで莫大な金額かかるの分かってたから仕事漬けで、行事も来てくれなくて面談も予定空けれないからって1度も来てくれたこと無かった。高学年になればもう慣れっこで。父方の祖父母もう両方いないから頼れる人もいないしね。毎月現金でお金机の上に置かれているのを見て父さんどんだけ頑張るんだって一人で泣いてることはあったんだけどな。中学校も部活も入らずに友達と遊ばないで買い物行ったり家事したり。高校なってバイトできるようになってから余裕が出来てんだけどな。けど、やっぱさみしいな。父さんは俺の事見てくれてない。会っても声をかけさせないで部屋にこもって仕事行って。今じゃ俺がいない昼間に帰ってきて帰ってくる夕方までに家を出る生活だ。こんな話誰かにしたら同情されて惨めになるだけだから言わなかったんだけどな。なんか、おきなちゃんには言いたくなった。」
私とは違うけどどこか似通ってる紅幸くんに改めて声をかけることができなかった。それこそ同情こそが辛いことを自分が理解していたから。
紅幸「蒼星って、お嬢様じゃん?親父さんはすっげぇ有名IT企業の社長さんで、お母さんが社長夫人兼有名アパレルブランドの社長。そして子供を溺愛している。あんなキラキラした家庭みてると自分が愚かになる。もちろん大好きだし、親父さんやお母さんも俺の事実の息子のように扱ってくれてて、悪い気はしねぇけど逆にそれが辛い。」
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