幸せとはこの事か
おきな「え、え、紅幸くん?」
紅幸「…父さんがいた」
おきな「え…」
思わず掴んでいた傘を落としてしまう。
紅幸「父さん…女の人と笑ってた。幸せそうにレストランに入ってた。」
抱きしめる腕が強くなる。
紅幸「父さんが再婚するなら俺は全然応援するし、幸せそうならそれでよかった…!だけど…俺には1度もあんな顔見せたこと無かった…俺の知ってる父さんは疲れきった顔といらいらした顔しかしらない…!!」
紅幸くんの痛いほどわかる言葉に自然と抱きしめ返す。
紅幸「…父さんは…俺といても幸せじゃないのかな…」
雨の音が強くなる中、紅幸くんの言葉だけははっきりと届いた。
泣いているのかもしれないけど、雨で隠れる。
私は1度腕を緩めて、顔を見上げて言う。
おきな「一緒に帰ろっか」
紅幸くんはこっちをみて小さく頷く。
落ちた傘を拾って、刺したら身長が足りなくて、紅幸くんが持ってくれる。
おきな「へへ、ありがとう。ケンタッキー大丈夫かな?」
紅幸「大丈夫、じゃなかったらごめん。買ってくるよ」
おきな「いいよわざわざ。クリスマス気分味わいたくて買っただけだし気にしないで。」
紅幸「ごめんな」
2人で帰路に着く。
家の前まで来た時紅幸くんに傘を返される。
紅幸「ありがとう、じゃあ…」
おきな「待って」
咄嗟に服を掴む。
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