白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
「だって、私がもし立って歩けていれば、さっきは簡単に猫ちゃんを助けられたもん。もう絶対に歩けないなら仕方ないけど、頑張れば歩けるようになってできることが増えるんだよね。だからやってみる。次、こういうことがあっても自分ひとりでなんとかできるようにね」

「華……!」


 佐助は感激したようで、目を潤ませる。

 そしてなんと、華ちゃんをお姫様抱っこのような形で抱えた。


「え、ちょ、ちょっと佐助くん!?」


 顔を真っ赤にして、慌てた様子になる華ちゃん。

 そ、そりゃびっくりするよね……。

 隣で見ている私だって驚いちゃったよ。

 まさかいきなりの抱っこなんて。

 しかも佐助、見た目はかなりかっこいいし……。

 猫ってみんな見た目がかわいいけど、人間になってもやっぱりみんな容姿は整っているのかな?


「だって、いつまでも地面に座ってたらお尻痛いだろ。ほら」


 そう言いながら、車いすの上に丁寧に華ちゃんを座らせてあげる佐助。

 その拍子に喜助は華ちゃんの胸から地面にすたっと下りて、ちょこんと車いすの傍らに座った。

 えー、なんかかっこいいんですけど佐助。

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