白猫王子と俺様黒猫～猫神の嫁なんてお断りですっ！～

　猫と人間なのに、お似合いのふたりに見えて私は正直に「いいなあ」って思った。


「え、う、うん……」


　顔を真っ赤にしながら華ちゃんは俯いてしまう。

　えっ、これもしかして脈ありなんじゃないの佐助!?

　なんて、ひとりで密かに盛り上がっていると。


「……華。歩けるようになったら、今よりもいろんなことができるようになるよ。いつも言ってたもんな。一緒に走り回りたいって。自由に遊びたいって」

「え、いつも……？」

「い、いや。そう猫に話していたのを偶然聞いたんだ。時間がかかったっていいと思う。今華の隣にいる猫も、今ここにいないもう一匹も、きっとずっと待ってる。辛かったらもちろん休んでもいい。それでも猫たちは華のことが好きだから、華が歩けるのをずっと待ってるよ」

「佐助くん……」


　佐助の言葉を聞いた瞬間、私はやっとわかった。

　寄り添うってこういうことなんだって。

　私が華ちゃんに言ってあげたかった言葉まさにこれだったんだって。

　ーー応援してるよ、自分のペースでいいよ、辛い時は休んだっていいんだよ。

　あなたのことを大好きな猫は、ずっと待っているのだからって。

　昨日の佐助だって、本当はそう伝えたかったのだろう。

　焦っちゃって急かすようなことを言っちゃったけど。


｢そうだよ！ 華ちゃん、辛くなったら弱音を吐きに来てね。ゆっくり、少しずつやっていこう！｣


　感極まった私がそう言うと、華ちゃんは涙ぐみながらも微笑んでくれた。

　すると、いつの間にかやってきていた白亜と黒霧がこう言った。


「そうだよ、頑張ってね華ちゃん。自分のペースでいいからね。俺たちもこの辺に住んでるから、一緒に遊ぼう」

「歩けるようになったらよ、今までは難しかった遊びを、一緒にやろうぜ」

「みんな……。ありがとう。佐助くんのお友達、いい人ばっかりだね」