白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
「枝乃も言ってたし、猫の国からの言付けにもあったように、他の人に俺たちのこと知られたらまずいんだよね。だから華ちゃんにも伝えるのはいけないよ」


 私の気持ちを察したらしい白亜が、耳元で囁くように釘を差してきた。

 そ、そうだよね……。

 どこから話が漏れて騒ぎになるか分からないし、例外を作ったら線引きが分からなくなってしまう。

 だから私は、口から出かかった真実を飲み込んだのだった。


「……ってか、そろそろ佐助にかけた術、解けるんじゃねーの。まずくね?」


 黒霧の小声の指摘に、私ははっとする。

 そ、そうだ!

 佐助にかけている人間になる術は、時間が立てば解けちゃうんだった。

 佐助が猫に戻っちゃう前に、華ちゃんの元から去らなきゃ!


「……華、俺そろそろ行かなきゃ」


 黒霧の声が聞こえていたらしく、佐助が言う。

 すると華ちゃんは、とても寂しそうな顔をした。


「そうなんだ……。ねえ、また会える?」


 期待を込めて華ちゃんが言っているのを見て、私は胸が痛くなった。

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