白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 猫が人間になる術は、かかった猫の体への負担が大きいため、何度もかけることができない。

 白亜は昨日「あと一回くらいにしておきたい」って言っていた。

 そして「そのあと一回」を、まさに今使ってしまっている。

 だから人間の姿の佐助が、華ちゃんに会うことはもう……。


「俺、また引っ越すんだ」

「えっ!?」


 佐助ももう自分が人間になれないことは知っている。

 だからそんな風に言ったのだろう。

 驚いた顔をした後、華ちゃんはとても悲しそうな顔をした。

 すると佐助は、そんな華ちゃんに向かって優しく微笑みかける。


「そんな顔するなよ。……会えなくても、俺は華のことをずっと思ってる。歩けるようになるのを、応援してるから」

「佐助くん……」

「それに俺以外のやつ……枝乃や白亜、黒霧にはまた会える。一緒に遊んでくれるよ」


 そう言いながら、私たちを目配せする佐助。

 私たち三人は、申し合わせたように力強く頷いた。


「そっか……。佐助くんに会えないのは残念だけど、新しい知り合いが三人もできて、よかった」

「うん! 私も華ちゃんと会えてよかった!」

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