白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
「俺たちは近くに住んでるし、すぐ会えるよ~」

「おい、知り合いなんて水臭いな。もうダチだろ俺ら」


 シュンとしていた華ちゃんを励ますように私たちが言うと、彼女の顔が幾分が明るくなったように見えた。

 ――そして。


「じゃあな、華。元気で」

「……うん。佐助くんも。私頑張るから!」

「うん。もう会えなくても、俺はずっと応援してるよ」

「ありがとう、佐助くん!」


 そんな会話をした後、別れる佐助と華ちゃん。

 華ちゃんは、歩き出した私たちにいつまでも手を振っていた。

 佐助は後ろ髪を引かれるように、華ちゃんに顔を向けて手を振り返しながらずっと歩いていた。

 そして、曲がり角を曲がって華ちゃんが見えなくなった時。


「もう華とは話せないんだな……」


 佐助は立ち止まり、ちょっと切なそうにそう言った。

 佐助を人間にする術は、体の負担が大きいからもう使えない。

 かといって、猫の状態のまま人間語を喋る術を使って華ちゃんに話しかけたら、彼女がびっくりしてしまう。


「佐助……」


 私は励ましの言葉が見つからず、それ以上何も言うことができなかった。

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