白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 ――すると。


「最後なんだから、好きだって言えばよかったのによー」


 黒霧が能天気そうに言った。

 も、もうこいつは!

 猫としてはこれからも会えるけれど、人間の姿では会えなくなることに、佐助は今辛さを感じていたったいうのに。

 このタイミングでそんなこと言う?

 黒霧の空気の読めなさに私は呆れたけれど、佐助はあまり気にした様子はなくて、切なげな表情のまま首を横に振った。


「俺は猫で、華は人間だから。そんなこと言われても困るだろ。……もう話もできないし」


 その答えに私は悲しくなってしまった。

 猫だとか人間だとか、好きだっていう気持ちに関係あるのかな?

 例えもう会えなくたって、話ができなくたって、恋人同士になれないからって。

 私はそういう気持ちを誰かに伝えられたら、とても嬉しいと思う。

 例え相手が人間じゃなくっても。

 そう思った私は、佐助の方を見てこう言った。


「別にいいじゃない。人間だとか猫だとか、そんなの関係なくない?」


 佐助は虚を衝かれたような顔をした。


「え……?」

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