白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
「……どうしたの、こんなところで」


 愛羅の家は、確かここからは結構遠いはずだけど……。


「これからこの近くのピアノのレッスンなのよ! 何よ、悪い!?」

「いや、別に悪いだなんて言ってないけど……」


 どうしてこう、いちいち突っかかってくるんだろう。

 やっぱり、愛羅の恋路を今までずっと邪魔してしまったことを、引きずってるのかな……。



「って、枝乃なんかどうでもいいんだわ! 白亜くんと黒霧くん……あとその男の子、誰よ!?」

「えっ……」


 やたらとぎらついた目で、愛羅は佐助を見つめていた。

 げ、まさか愛羅、佐助にまで目を付けたの?

 確かに佐助も白亜や黒霧に劣らず、結構かっこいい顔してるけど……。

 この人、かっこいい男の子なら誰でもいいわけ?


「……え、枝乃。なんかこの子怖い……」


 本能で愛羅の強烈さを感じ取ったのか、佐助は声を震わせた。

 そして私の背中に逃げるように身を隠す。


「枝乃! その子はあんたのなんなのよ! なんで隠すの!?」

「えっ……。さ、佐助も私の親戚でして……」

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