白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 愛羅が驚いたような顔をする。

 ほ、ほら!

 やっぱり猫みたいな走り方で逃げる佐助を不思議に思ってるよ!

 と、不安に思った私だったけれど。


「ワイルドで素敵!」


 愛羅はうっとりとした顔で言った。

 ワ、ワイルド……?

 え、いや、明らかにおかしいでしょ……。

 って、思わず愛羅に突っ込むところだったけど、そう思ってくれるんならそれはそれでいいかと私は思いなおす。


「待って!」


 愛羅は佐助を追いかけるため、走り出した。

 だけどすでに佐助はかなり遠くまで逃げていて、ちょうどだいぶ離れた曲がり角を曲がって姿が見えなくなった。

 このまま追い回されてはまずい、と私も慌てて愛羅を追いかける。

 ――すると。


「たぶん、もう大丈夫だよ。ちょうどそのタイミングだったから」


 そんな私の背中に、白亜がいつも通りのんびりとした口調でそう声をかけた。

 どういう意味か分からなくって、わたしはとりあえず愛羅の後を追った。

 ――すると。


「え、いない……」


 曲がり角をちょうど曲がったところで、愛羅が呆然とした面持ちで立ち尽くしていた。

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