白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 そう、少し先を行っていたはずの人間の姿の佐助は、忽然と姿を消していた。

 その代わりにいたのは……。


「にゃん」


 茶トラ柄の子猫だった。

 ああ、なるほど。

 「ちょうどそのタイミング」って、そういうことね。

 佐助が人間から猫に戻るタイミングだったってわけか。

 佐助が愛羅の魔の手から逃げられたことに、私はほっと胸をなでおろす。


「ちょっと! 野良猫はどっか行ってよ! 佐助くん、どこー?」


 猫に「しっしっ!」というジェスチャーをしながらも、猫撫で声で佐助を呼ぶ愛羅。

 いや、だからその猫が佐助なんだですけど……。

 もちろん言いませんが。

 その後、佐助の名前を呼びながら辺りを見回していた愛羅だったけれど、しばらくしてから私の方をなぜか睨みつけてきた。


「もう、佐助くんどこか行っちゃったじゃないの! あんたのせいよ!」

「えっ……。そうかなあ……?」


 どこをどう考えても私のせいには思えなかったので、首を傾げる。

 その私の態度がさらに愛羅をイラつかせたらしく、彼女はギリギリと唇を噛んでから、こうまくして立ててきた。


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