白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 自宅に連れて帰るために。

 私の家は、捨て猫は必ず受け入れるし、迷い猫もポスターやチラシを作って必死に飼い主を探す。

 ――なぜなら。

 少し歩いたら、赤い鳥居が見えてきた。

 そして鳥居の前には、石でできた二匹の狛犬……じゃなくて、狛猫。

 私の家である、猫屋敷(ねこやしき)神社の番猫だ。

 鳥居をくぐると、石畳の上で昼寝をしている猫が、三匹いた。

 三匹とも、以前に私が拾って保護した猫だ。

 そんな猫達が、この神社にはあと五匹……いや六匹だったかな?

 常に拾った猫の里親募集をしている上に、最近飼い主が見つかって何匹か巣立っていったから、今家にいる正確な猫の数は忘れちゃった。

 まあとにかく、うちには常に五匹から十匹前後猫がいる。

 三匹とも私が帰ってきたことに気づくと、ピクリと耳を立ててこちらを見てきた。

 でも、「なんだ枝乃(えの)か」みたいな顔をすると、また昼寝の続きを始める

 猫のそんなマイペースさが、私はかわいいと思う。

 歩いていくと、境内を掃き掃除しているお父さんの姿があった。

 そしてそんなお父さんの周りには、数匹の猫がうろうろと歩き回っていた。


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