白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 猫屋敷家に嫁いだから、そりゃ神事や儀式にはちゃんと協力していたけれど……。

 お父さんに付き合って、とりあえず言われた通りに猫神を崇めておくかみたいなスタンスじゃなかった!?

 と、お母さんの言動を私が不審に思っていると。 


「……こんなかっこいい子がうちに住んでくれるなんて。うふふ」


 お母さんがにやりと笑って、小声でそう言っていたのを私は聞いてしまった。

 たぶんお父さんには聞こえていないだろう。

 そ、そうだった。

 お母さんって結構ミーハーで若いアイドルや俳優が好きなんだよね……。

 白亜も黒霧も、テレビに出てもおかしくないくらいのイケメンだから、お母さんのテンションが上がっているのだろう。

 お母さんにとってはきっと猫神だの黄金の猫じゃらしだのなんてどうでもいいはずだ。

 ただ「イケメンと一緒に住める! わーい」としか思っていない。


「ねえ、お父さん? 猫神様の候補なんだから、住まわせてあげなきゃだめだよね」

「うーむ……。そ、そうだな」


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