白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
「お帰り、枝乃」

「ただいま!」

「ん、その箱は……」

「あー……。また捨て猫で」


 私は苦笑いしながら答える。

 するとお父さんは、箱の中を見てパッと顔を輝かせた。


「おお、こりゃかわいいね」

「うん。白と黒の組み合わせって、いいね」

「離乳は済んでる時期だな。枝乃、世話できる?」

「できるよ、二匹なら」

「そっか、頼むぞ」


 なんてことを、当たり前のように話す私とお父さん。

 うちの家族は、猫を何よりも大切にしている。

 だってうちは猫神様を祀っている猫屋敷神社だから。

 猫は猫神様の使いだから、丁重に扱わないといけないというのが、猫屋敷家に代々伝わる家訓なんだ。

 まあ、猫はかわいくて私も大好きだから、猫を大切にするっていうのは別にいい。

 ――だけど。


「あ、枝乃。今朝も礼拝サボってたんじゃないか~?」


 猫が入った箱を抱えて、社務所兼住居に入ろうとした私に、お父さんが咎めるように言う。

 私は思わずしかめっ面になってしまった。


「だって、眠かったんだもん」

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