白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 ご飯をよそったお茶碗を私に差し出しながら、お母さんがうきうきとした様子で言う。

 な、なるほど……。

 イケメンふたりにテンションが上がったお母さんの仕業か。

 お母さんはたぶん、「どっちもかっこいいから、枝乃の結婚相手はどっちでもよし!」なんて思っているんだろう。


「枝乃が、嫁に……。しかし相手は猫神様の候補だぞ、喜ぶべきでは……? いやいや、だが」


 お父さんはお父さんで、よくわからないことをぶつぶつ言っているし。

 昨日もあんな調子だった。

 もう、うちはこのふたりのせいでめちゃくちゃだよ!

 自分の家なのに、たった一日で居心地が悪くなってしまって、私はイライラしながらご飯を食べる。

 ――すると。


「枝乃、随分食べるのがゆっくりだね」


 白亜が、朝っぱらからキラキラとした笑顔を見せて私の隣で言った。

 確かに顔はとてつもなくかっこいい……。

 と、思わず見惚れてしまいそうになったが、私は慌てて彼から視線を外して、淡々とこう言った。


「……朝から食欲なんてそんなに出ないでしょ」

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