白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
「あーもう! うるさいうるさいうるさーい!」


 目の前でバトルを白亜と黒霧に繰り広げられて、堪忍袋の緒が切れた私は絶叫する。


「え、枝乃?」

「……でかい声」


 いきなり叫んだ私に、さすがに怯んだ様子の猫神候補のふたり。

 朝からわけのわからないことで喧嘩されて、ただでさえ疲れていた私の精神はもう限界だった。


「いい加減にしてよね! 私は結婚なんてまだ誰ともしないし、猫神だのなんだのなんて知ったことじゃないの!」


 ふたりにそう言い放つと、朝ごはんはまだ途中だったけれど、私はすっくと席を立った。


「あら、枝乃。もう学校行くの~?」


 突然怒り出した私に動じることもなく、マイペースなお母さんはいつもの様子でそう尋ねてくる。


「行く!」


 さっさとこんな場から逃げてしまいたい私は、強くそう言った。


「あら、そうなの。あ、そうそう枝乃。学校のことなんだけど……」

「私急いでるから! 話なら帰ってから聞く! 行ってきます!」


 一刻も早く、猫神候補ふたりと離れたかった私。

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