白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 うちの猫はみんな清潔にしているから、私にまでにおいが移るなんて考えづらい。

 登校の間に、何人も友達と会ったけれど誰も指摘されなかったし。

 でも愛羅は猫が大嫌いだから、他のみんなが気が付かないにおいに敏感に気づいたのかもしれない。

 もしそうだとしたら、ちょっと心配なことが出てくる。

 だから私は真顔でこう言った。


「あれ、ごめんね。ちなみにどんなにおいなのかな? もし本当に猫のにおいが私にうつるほどきつくなっているなら、病気の子がいるのかも……」

「びょ、病気……?」


 なぜか愛羅は虚を衝かれたような顔になった。

 そう、猫は病気になると体臭がきつくなったりする。

 だから私に移るほどのにおいがあったとしたら、どの子かが病気なんじゃ……って私は思ったんだ。


「だからどんなにおいがしたのか、教えてほしいんだ。どんな病気なのか、それで結構絞れるから」

「……! う、うっさいわね面倒くさい! 臭いものは臭いの! ……もうあんたはっ。そういうところが嫌なのよ!」


 何故かいらだった様子で愛羅はそう言うと、ずんずんと歩いて自分の席の方へと行ってしまった。


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