LOVEDOUBT ホスト×女子高生


「アイツの寂しさや苦しみに気付いた時には、もうやり直せない程俺達の関係はボロボロだった。
だから、もう別れるしかなかった。

いや、本当はもっと前に薄々と気付いていた。
アイツがホストと居る所を見掛けた事もあったし。
けど、俺それをアイツに訊くのが怖くて見て見ないふりして・・・。

ってか、もうその頃にはアイツは俺なんか見てなくて、そのホストに本気だったから、どのみちどうにも出来なかったんだけど」



恋人が心変わりして、他の人を好きになる事はよくある話だろうけど


ナツキの失恋は、それとはまた少し違う気がする




「アイツと別れてから、心身弱って結局会社も辞めて。
で、そんな時に、アイツを騙してたホストを街中で偶然見掛けて、そいつが店入る所まで後つけて。

そしたらなんでか、そのホストの店の店長に俺スカウトされて・・・。

で、それからずっとホストやってる・・・、って、ちょっと話逸れたけど、
俺の過去の恋愛はそんな感じ、かな?」



「その元カノを騙したホストに勝ちたくて、ナツキはホストになったの?」


そう訊くと、ナツキは図星なのか、少し驚いたようにこちらを見ている




「そう。

けど、簡単にそいつからナンバーワン奪えて呆気なかったけど。
呆気なくて、余計に虚しくなった」


ナツキは私から、海へと視線を戻した


そして、何かを思い出すように目を細めている




「俺、S県の小さな離島で生まれ育ったんだけど、海に囲まれてて。
この海より、もっと綺麗で」



「そうなんだ。
海が近くていいな」



今日、数年振りに海を間近で見たけど、凄く心が癒される



真夏の真っ昼間の海はテンションが上がるけど、
今はただ、その美しさや波の音が優しく包み込んでくれるから
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