LOVEDOUBT ホスト×女子高生
手術が始まって一時間くらいで、
私達は呼ばれて、新生児室へと入った。


その赤ちゃんの手には、
真紀さんの名前が書かれたバーコード付きの白いバンドが巻かれている。


その小さなベッドの上で、その小さな命がすやすやと眠っている。



「可愛い」


目から涙が溢れて来て、
横を見ると、お父さんも涙は流していないけど、
目頭を赤くしていた。



「未央は、目開けて泣いてたな」


ポツリと言ったその父親の言葉は、
私が産まれた時の事だろうか?



「お父さん、私が生まれて来て嬉しかった?」


こんな時じゃなかったら、この人にこんな事を訊かなかったかもしれない。


「ああ…」



そう言って、頭を撫でられた。


お父さんとこうやって話す事さえ久しぶりなのに、
頭なんか撫でられるなんて、もう思い出せないくらい前で。


ナツキに撫でられるのとは違った感覚で、
これはこれで悪くないのかもしれない。




手術室から出て来た真紀さんは、
意識朦朧って感じだった。


点滴したままベッドで運ばれて来た。



「…ありがとう」


旦那である私の父親よりも、先に私の顔を見てそう言ってくれた。




「私の方がありがとう。
可愛い弟を産んでくれて」



こんな風に私達が穏やかに話せたのは、
きっと、弟のおかげだと思う。


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