LOVEDOUBT ホスト×女子高生
「…ごめん…私本当はそんなつもりじゃ…。
ちょっとナツキを困らしたかっただけで…」


アヤノさんはその手から、持っていたカッターナイフを落とすと、
私達から逃げるように走って行った。




「ナツキ!」

私は体を起こして、そのナツキの傷を見る。



それは、耳から口端にかけて、10センチくらいの傷で。


その傷が深いのは、見た瞬間分かるくらいに、パックリと切れていて。



ナツキは着ていた薄手のジャケットを脱ぐと、

それで傷口を押さえている。



それは、すぐに赤く染まって行き…。





「ナツキ、病院行かないと!
行こう!」



立ち上がろうとした私の手を、ナツキが掴んだ。



「大丈夫だから」


ナツキは立ち上がり、落ちていたその血の付いたカッターナイフを拾い、刃を閉じ、
ズボンのポケットに入れていた。



「大丈夫なんかじゃないでしょ?
早く病院に行かないと、傷が残るよ」


病院に行っても、跡が残るかもしれない。


それほど、深い傷だった。



「事を大きくしたくないから。
とりあえず、一度部屋に戻ろう?」



そのナツキの言葉に、納得は出来ないけど頷き、それに従った。


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