LOVEDOUBT ホスト×女子高生
「こっちの大学、どこ受けたの?」


そう訊く彼の声は優しくて、
私が突然此処に現れた事をそれなりに歓迎してくれているのだと思った。



「S大学…」


「えっ?マジ?
S大受かったの?!」


そんなに驚かなくても、ってくらい驚いているけど。


「S大学は、落ちた…」


世の中そんなに甘い事はなく、
私はS大学に落ちた。


「え、じゃあ」



「M山大学に受かったの」


そのM山大学は、このS県にあり、
この老人ホームからわりと近い場所にある。


夜更け迄受験勉強を頑張っている私に、
父親が情けをかけてくれた。


滑り止めで、私立の大学も一つ受けていいと。


多分、裏で真紀さんも父親を説得してくれたんじゃないかって思う。



「M山なら、まずまずじゃん。
未央よく頑張ったね」


そう誉められて、嬉しくて笑ってしまう。


以前の私なら、きっとそのM山大学さえも受からなかったと思う。


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