オフィスの華(令和版）Episode.０~スノードロップ~

仲代課長が馴れ馴れしく私の肩を抱いて来る。
介抱してくれるのは嬉しいけど、下心が見え隠れしていて何処か怖い。


風邪とお酒のせいでカラダが思うように動かない。

私は仲代課長の手を振り払えなかった。

「仲代課長…戯れが過ぎますよ…」

栗原さんが私達の元に歩み寄って来た。
「彼女が酔ってるから…俺は介抱しただけだ…誤解するなっ！！」

仲代課長は私の肩に乗せていた手を離して、栗原さんに向かって怒鳴った。

「後は俺が介抱しますので…ありがとうございました」

仲代課長はふんと鼻を大きく鳴らして、大広間に戻った。

「大丈夫？小畑さん」

「あ、はい…」

栗原さんの優しい声。
私の瞳に映る彼の顔はとても朧気で、まるで幻のように見えた。

でも、低くに響く声だけはしっかりと聞こえ、いつも同じフロアで働く彼に安心して、カラダを寄せた。