オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
我が社のMRは入社後、まずは第三営業部に属し、ステップアップしていく。
第三営業部の相手は主に開業医。第二営業部は地域の中核の基幹病院と地方の大学病院。
第一営業部は都内の有名大学病院と相手先によって分かれていた。

第一営業部所属となれば、営業部の花形となる。
その花形部署に入って来る人間はそう居ない。

研修医修了で医者にもなれると部長に訊き、納得した。

「その上…顔もいいらしい」

「へぇー…」
私はワザと彼の写真を見なかった。

「まぁ、宇崎の後釜としては欲しい…」
宇崎さんは三ヵ月前、外資系の製薬会社に転職し、退職した。
宇崎さんの穴埋めが出来る営業マンは不在で上半期営業成績は落ち込み、責任者である部長は頭を痛めていた。

「でも、医者はスキじゃない…」
部長の兄は医者。
何かと兄と比較され、育った部長は兄に対してコンプレックスを抱いていた。





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