オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
自分では決して欲には溺れない女だと思っていたけど。
耶刃さんと更に彼のおかげでオンナに目覚めたのかしれない。

恥じるべきか…
受け入れるべきか…
「!?」

コピー機の前に立っていた栗原さんの姿が急に見えなくなった。

私は椅子から立ち上がり、コピー機に歩み寄っていくと彼が蹲って咳込みながら、コピー機の下を探っていた。

「紙詰まりしたようです」

「見せて…」


私も蹲り、彼と一緒に下を覗き込んだ。

彼は私の顔から顔を背け、咳込む。

「大丈夫ですか?」

「・・・大丈夫…直りそうですか?」

「えぇ~コピー機は大丈夫よ…」

詰まった紙を取り除くとコピー機のエラー表示も消えた。私達はコピー機の動きを見守る。
その間も、時折咳き込む彼。
かなり苦しそうだ。

「…今日は早退したら?」

「早退は無理だ…企画した講演会の資料作りをしないと…それに色々と忙しい」
皆も自身の仕事で手が一杯で、調子の悪い彼を手伝える人は居なかった。

彼はコピーが擦り終わると出来上がった資料の束を持って、デスクに戻った。

「じゃ私に手伝わせて…」

私は彼のデスクに歩み寄って、彼に話し掛ける。

「小畑さん、君の仕事は?」


「あるけど…時間には余裕があります…」



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