オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
講演会が始まり、裏では講演会後のドリンクと軽食の準備を進める。
「思った以上に人が入りましたね…相馬部長」
「そうだな…やっぱり…お前のおかげだ。栗原」
「そうですか?」
私は準備を手伝いながら、二人の話を訊いた。
「講演会後は打ち上げだ…」
「はい…でも・・・そう言えば…俺、医局の飲み会に誘われてました…部長」
「そうか…こっちの打ち上げはいいからそっち優先で頼む…」
「分かりました…部長」
「大変ですね…」
栗原さんは表の様子を伺いに、広間に出て行く。
「…講演会は成功ですね…」
「あぁー…現場でキャリアを積んだ経験者は違う…色んな意味で、医師たちとの交流深まって、宇崎の時よりも関係が良くなった…」
最初は彼を敬遠していた耶刃さんだけど、今は一番頼りになる部下として信頼を寄せていた。
彼との信頼が深まる度、あの北海道での夜のコトが頭を過る。
耶刃さんに話をすれば、栗原さんとの築いた信頼は…
でも、どうして栗原さんはあんなコトをしたんだろうか?
彼は本気で私を耶刃さんから奪う気はなさそうだし。