オフィスの華(令和版）Episode.０~スノードロップ~

「耶刃さん…」
彼は私に釘を刺した。

「俺はどうも兄貴と同じようなタイプの人間には弱い…正直凹む」

耶刃さんはそうやって私にだけ弱さを見せる。

メインは牛フィレのステーキ。トリュフの添えられたデミグラスソースが濃厚な味を醸し出した。

こうやって、こんな高級料理に食べられるのは彼のおかげ。


「美味しい」
美味し過ぎて、口許は綻んだ。

「奈央お前の笑顔は一番のキレイだ。オフィスでももっと笑えばいいんだ」

「そう思っているんだけど…」

素直に自分が出せない。
名前は奈央なのに。

「まぁ、困った顔するんなら、無理に笑わなくていいさ」