オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
お礼の食事と言っても、駅前のファミレス。でも、私はそれで充分。
彼との価値観の一致は捨て難い。それが彼と別れられない理由。
部屋に帰れば、そのままベットに倒され、彼の腕の中。
「奈央は本当にキレイだな…」

「心はキレイじゃないわよ…私は昔後輩を苛めたコトあるの…その子も私と同じでとってもキレイな子だった。
私を「キレイ過ぎて俺には勿体ない」と言って別れを切り出した彼氏がその子と付き合い出して…嫉妬と悔しさで…その子が私の彼氏を取ったって校内にデマを流した。そうしたら、校内の皆が私に同情して…その子をコトを無視し始めた…学校挙げての苛めだから…その子は耐えられず…転校したわ…」


「…」

「…その後…母の再婚相手に言い寄られ・・・今度は男に嘘付かれ、家から出て行く羽目になった。
因果応報って言うヤツね…今度、古林さんに会ったら、彼女に謝りたい…」

栗原さんは何も言わず、私の腕の中に抱き締めて訊いていた。

「奈央…やっぱり君はいい子だね…」
「えっ?」
「部長と同じで悪い人じゃない…」

「栗原さん?」

さっきまで、私に彼にしては優しく腕枕をしてくれた腕が頭の後ろから冷たく抜けていく。

「…奈央君には用がなくなった…」

「えっ?」

「・・・もう君には利用価値がないって言ったんだ」

「待って…」

彼はベットから出て服を着始める。

「急にどうしたの?」
私は彼の変貌ぶりについて行けず、問うしかできない。


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