振り向いて欲しい

新しい生命

最近夏バテ気味。食欲なくて水ばかり飲んでいる。食べてないからかなんだか疲れるなぁ。最近よく寝るのに疲れが取れないなぁ。

今日は久しぶりに高校の4人組で集まる日。毎日会うのが普通だったあの頃が懐かしい。社会人になり、なかなか会えずにいたが遥加は旦那様に子供を預けられるって言って久しぶりに飲みに行くことになった。
やっぱりこのメンバーで集まると話は尽きない。
同窓会の話になりあの頃常に中心にいた高坂くんの話題も出てきた。相変わらずカッコいいしみんなに囲まれてたねー。いい会社入ったらしいしあの頃から狙ってた女子が群がってたよね！と3人は盛り上がる。私は相槌を打ちながら
大好きなお酒もあまり進まず、食べ物も漬物やもずくばかり食べていた。

それを見かねた遥加が聞いてきた。

「サーヤ、食欲ないの？」

「うーん、夏バテ？なんか疲れが取れなくて寝てばっかいるんだよね。さっぱりしたものなら食べれるけどご飯は食べたくなくてさ。漢方でも飲もうかな。」

現役ナースの友美はギョッとする。

「サーヤ、妊娠してないよね？さっきから思ってたんだよね。いつもと違うって。サーヤにそういう人いるの？」

みんなは私に彼がいないことを知ってて聞いてくる。
私は返答に困った。彼ではない。付き合ってないもの。でも妊娠する可能性のあることはした…。

生理？いつきたっけ？不順だった私はあまり意識してなかったけど2ヶ月は無いと思う。

まさか…

押し黙る私にみんなが優しく声をかける。

「私が妊娠した時も同じように食べ物が極端に偏ったよ。飲み物も水かオレンジジュースだけでお茶も飲めなかった。眠たくて、眠たくて仕方なかったの。サーヤはそんな感じじゃないの？夏バテなの？」

「サーヤは私たちの友達だよ。困ってるなら言ってよ。親友だと思ってるのは私だけなのかな？」

私は糸が切れたように涙が落ちてきた。
妊娠してるって決まったわけじゃない。
でも…私にはわかる。何か違うもの。妊娠してるんだ。

彼がいないことを知ってるみんなは私に相手のことを聞いてこない。
ただ、私の身体を心配してくれるだけ。

「サーヤ、大事なことだから調べてみようよ。」

「うん」

そう言うしか出来なかった。
帰りに検査薬を買って家で検査をした。
やっぱり小窓には赤い線が見える。
赤ちゃんがいる…