振り向いて欲しい
1年を過ぎ私は近くの薬局で働き始めた。
金銭的に哲平のためにも自立しなければ、と保育園へ預け働き始めた。

哲平は後追いして泣き出すがお迎えに行く頃には笑顔で遊んでいるのをみてホッとする毎日。
一度父が見にいって見つかってしまい大泣きされたよう。今日のお迎えを父で申告してないため引き取れず父も泣きながら帰ってきたそうで母は呆れ顔。それ以来見に行くのをやめてるそう。毎日会えるのに会いたいだなんてまるで哲平に恋してるようだ。

自立したいとは言えやはり両親に頼ることは多い。できる限り自分で、と思うが遅番の時はお迎えを両親に頼んでしまう。両親とも快く引き受けてくれるからありがたく思う。

ようやく私の仕事も慣れ、哲平も泣かずに保育園に行けるようになり安心していた。

今朝は朝ごはんをあんまり食べてくれないな、と思ったがもう時間のため哲平を抱っこし、慌てて保育園へ向かった。
お昼過ぎ、保育園から電話が来た。

「田中さん、哲平くんが熱を出したんです。連絡しようと思っていたら痙攣が始まりました。初めてだし時間も長かったので今救急車を呼んでいます。病院が決まったらすぐに連絡しますので直接病院に向かっていただけますか?」

私は手が震えた…痙攣??
哲平は1歳を過ぎ今日まで病気なんかしたことない。どうしよう。

職場の人に救急車で搬送されることを説明し慌てて着替える。

哲平…

哲平…

スマホが鳴り保育園から市内の総合病院に搬送されたと連絡があった。
私は慌てて飛び出し病院へ向かった。

病院で保育園の先生に会い説明を聞いたところお昼ご飯をあまり食べずに昼寝してしまったとのこと。昼寝から起きたら発熱しており連絡しようと思っていたら10分痙攣を起こしたと。

10分?!大丈夫なの?

すでに哲平は医師に見てもらい点滴を受けていた。小さな手に針が刺され痛々しい。
小さな子には見られるものなので今後何度もあるなら検査が必要ですがひとまず大丈夫なのではないかと思います。今日は一晩様子を見るため入院しましょうと説明された。

哲平、ごめんね。朝ごはんいつもならパクパク食べるのに残してたよね。ママが忙しいからって見落としてごめんね。
哲平の姿を見ると涙が溜まってくるが泣いてる場合ではない。

保育園の先生にお礼を伝え帰ってもらった。

両親に連絡し入院になったことを説明すると驚いてすぐに駆けつけてきた。
両親も哲平の姿を見て驚いていたがひとまず安心、と帰っていった。
私は帰らず一緒に泊まることにした。哲平と離れられない。ずっと手を握っていた。

翌朝、哲平は解熱し朝からご機嫌。ニコニコしている。身体には発疹が出ており突発性湿疹で子供はまずかかるものですから、と言われた。今回は熱が高かったので身体が反応出来ず痙攣を起こしたんですね。3歳までに繰り返すなら検査しましょうね、と言われ退院となった。
私は哲平を抱っこしお会計を待っていたところ会ってはいけない人に会ってしまった。
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