振り向いて欲しい
ひとまず今日はもう遅いのでまた明日出直します、といい高坂くんは帰っていった。

翌日昼にまた我が家を訪れた。

「昨日は夜分に失礼しました。改めまして、高坂淳平と申します。」

挨拶をしていると哲平がヨチヨチと歩いてきて高坂くんに手を伸ばしてくる。ビックリして見ていると抱っこをせがんでいるようだ。

両親も私もビックリしたがすぐに高坂くんは手を伸ばし抱っこするとキャッキャッと喜んでいる。哲平は彼の胸に頬を寄せスリスリしている。すると高坂くんの目尻から涙がこぼれ落ちてきた。「ごめんな」と呟きが聞こえてきた。哲平は高坂くんにしがみついて彼の頬を伝う涙をペチペチと触っている。「ありがとう」と苦笑いをもらす。
血の繋がりなのだろうか。高坂くんと哲平の間には親子としか思えない空気で包まれていた。

そんな姿に両親のわだかまりは解けたようにさえ思えた。
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