振り向いて欲しい
どれだけここにいたのだろう…ふと気がつくと5時間目も終わりそうな時間だった。サボるだなんて出来ない、けど教室にも戻りたくない。
保健室で休ませてもらおう、とお弁当をまとめ向かった。

そこで保健委員だった友美に「目が腫れてるんだけど…うーん、生理痛ってことにしとこ!」と訳がわからぬままベッドに寝かされ目元に冷たいタオルを置かれた。温かい布団をかけられ、目には冷たいタオルを置かれ私は気が緩んでしまい眠ってしまった。

ねぇ、そろそろ帰らない?と言う声にビックリして飛び起きた。「今何時ですか?」と聞くと「5時」となんともあっさりとした返答。
ごめんなさい、と布団から出ようとすると友美が声をかけてきた。

「私3組の坂巻友美。よろしくね。何があったのかわからないけど今日は生理痛ってことで話してあるから。カバンも取ってきてるよ。」

 ありがとうございます、とカバンを受け取りいそいそと布団から出る。

「同級生なんだから堅苦しいよ。ありがとうでいいんだよ。」

「あ、ありがとう。私は1組の田中彩綾です。」

「知ってるよ。カバンとってきたし。」

「あ、そうですよね。すみません。」

「だーかーらー。堅苦しいって。もっと普通に話してよ。」

「うん。がんばってみます…じゃなくて、フツーにするね。」

「サーヤの家はどこ?一緒に帰ろーよ。」

「私は駅の南側。商店街を抜けたところにある神社のそばだよ。友美ちゃんは?」

「友美でいいよ!マジで?うち近いかも。商店街のコロッケ売ってるところの後ろだよ。」

「うわぁ。近いね。嬉しい。同じ中学から来た子がいなかったから近所には誰もいないのかと思ってたー。」

「たしかに南側だとみんな違う高校に行くもんね。私も同じ中学からいなかったわ。」

 なんだか友美とは話しやすくて帰り道自分が人見知りだったことを忘れてしまうくらい話してしまった。友美は保健委員だけど部活も頑張ってるんだって。テニス部に入ったけど初めてだからまだ全然で玉拾いとコート整備ばかり。サーヤもやらない?と。
私にテニスなんてムリ、と思ったけど今日のことを思い出し私も踏み出さなきゃ、と。友美に私も初心者だし運動神経もないけど大丈夫かな?と聞くと一緒に玉拾いしよーっだって。テニス部じゃなく私たち玉拾い部だね、だなんて笑ってくれた。うん、私にもそれなら出来る!
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