振り向いて欲しい
とはいえ高坂くんも毎日忙しそう。
高坂くんは中学からバレーボール部。しかもエース。高校でも朝練から始まり、午後もかなり遅くまで自主練をしてるって聞いた。努力家なんだなぁと思うけれどもちろん私は話しかけられない。話しかけてはいけない。。。

高坂くんは常に友達の中心にいてなんだか明るいオーラを纏った存在。オーラに導かれるように人を集め、人に癒しを与えるような、そんな存在。

でも高坂くんはみんなを癒すけど高坂くん自身は疲れないのかな。勉強だって手を抜いてないし部活も頑張ってる、友達に常に囲まれて気を抜く時間ってあるの?なんでも全力で疲れちゃわない?
ダメダメ、私がそんなことを考えたらダメなの。私とは違う世界の人だもの。私が話したら彼にまた気を使わせてしまうもの。

私がコートの端で玉拾いをして、ふと目線を上げるとバレーボール部の練習が見える。アタックしてる姿もブロックしてる姿もカッコ良すぎる。教室での姿とは違う高坂くんの真剣な顔にボーッとしてしまう。高坂くんだけ光って見える、と目でついつい追っていたらジャンプした後ガクッと膝から崩れ落ちるのが見えた。

あ!!!

私は体育館へ駆け出してしまっていた。

高坂くんは汗を流しぐったりしている。手を触ると熱い。バレーボール部の仲間に抱えられ保健室へ連れて行かれた。熱があったのに無理して練習に来ていたらしい。そもそも熱があることに気がついていなかったみたい。

先輩に同級生なら教室から荷物持ってきて帰らせて、と頼まれすぐに教室へ向かった。戻る途中ポカリを2本買い保健室へ戻った。保健室で体を冷やされだいぶ楽そうではあるがいつもの笑顔はない。

「高坂くん。ポカリをとりあえず飲んで。着替えも持ってきたよ。帰れる?送っていくよ。」
と言うと驚いた顔をしていた。

「そんなに話すの初めて聞いたわ。スゲー。」

「私だって話せます。家はどこ?」

「3つ先の駅で遠いから大丈夫だよ。」

「遠いからこそ送ります。私も着替えてくるからね。すぐ戻るね。」
< 7 / 33 >

この作品をシェア

pagetop